【作品の概要】
本作品は氷河時代にあたる今から約2-3万年前に、隕石の墜落によって形成されたインパクトクレーターを舞台に制作している。歴史的に重要な場所に足を踏み入れた時、遠い過去の事象について思いを巡らせることはごく自然なこ とであるように思える。インパクト・クレーターが存在する山岳とその周辺から歴史的痕跡を収集し、それらを手がかりに遠い過去にかつて起こったとされる出来事を写真によって可視化することを試みた。当時そこに生息・自生して いた動植物や、隕石墜落の衝撃によって生成される虹色の鉱物、そして隕石が山岳に墜落する以前・以後の様子をあらゆる撮影技術を用いて表現している。
インスタレーションによる展示では、現在と過去を往復するようなイメージで、空間に時間軸を表すレイヤーを作り、それに付随したターポリンによる立体作品は、隕石が墜落する以前の山岳を復元することを目的に写真測量法とAIによる画像処理を施すことで制作している。インパクト・クレーターの窪みを上空からドローンを用いて67枚撮影した後に3DCG 化し、その窪みをデータ上で凹凸反転させた。そこからAIによる画像処理を施し、隕石が墜落する以前の氷河時代の氷山のイメージを生成している。インパクト・クレーターが残された山岳の地図を指で窪ませ、その地図を裏返した時に隆起した突起が、隕石が墜落する以前の山岳に見えたことを起点とし、ターポリンの表面はその氷山の画像、裏側は山岳の地図を出力している。
【プロジェクトの背景・目的について】
本作品『Amayekio』の個展開催に必要な制作費をご支援いただきたく、この度応募いたしました。これまでART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2022(丸ビルマルキューブ1F/東京)やKUMA EXHIBITION 2022(ANB TOKYO/東京)などといったグループ展で本作品の展示を行ってきましたが、それぞれ壁1面による構成であり、インスタレーションとして鑑賞者を作品の世界観に引き込むのには不十分でした。個展による展示では壁4面(あるいはそれ 以上)にそれぞれ作品を展示するだけでなく、空間に立体物やプロジェクターを 用いた映像作品などを加えることで、制作者である私の意図する展示が出来ると考えております。2-3万年前の太古の記憶をテーマとした本作品において、臨場感のあるインスタレーションの提供は、鑑賞者に対して遠い過去にタイムスリップしたかのような新たな体験をもたらすことでしょう。
【助成金の活用について】助成金は主に個展を開催するにあたり必要なプリントや額装といった制作費に活用いたします。
作家名金田剛作品名Amayekio年度2023年 PITCH GRANT