「Image picture」とは、印象の写真です。任意の風景を写真で切り取り、風景を構成する要素 ( 空・田・森・海 etc.) ごとに、それぞれの印象の色をその土地にゆかりのある人々に選んでもらいました。色の選び方は、photoshopを使い写真から色を抽出したり、カラーマップから色を選んでもらいました。
青々とした那珂湊の田んぼを走り抜けるひたちなか海浜鉄道。その車窓から見える田園風景を切り取り、電車を利用する人々に声をかけImage pictureを作成しました。
「もっと綺麗に晴れる日があるの。」と、お母さんは真っ青な空を選びます。
オレンジを選びながら「晴れてる日は夕焼けが綺麗なんだ。」とお兄さんは語ります。
「空はピンクで田んぼは青。特に意味はないけど直感!」と、ストレートに言葉を発する女子高生。
会話はままならずとも、楽しそうにビビッドな色を選んでくれた男の子。
全部で36人分のImage pictureが集まりました。どんなに色味が似ていても、全く一緒というものは存在しません。集まった写真は、一人一人が感じる印象はまるで違い、自分の見方が唯一なのだと教えてくれます。作成したImage pictureはパネル化し、この風景の中を走る電車の窓に展示しました。実際の風景というリアルと誰かの印象というイメージが重なり、新しい写真の見え方を提供します。
海と山に囲まれた自然豊かなまち・北茨城。その山上に位置するガラス工房シリカでは、日によって様々な表情を見せる風景を見ることができます。冬の朝、秋の午後、秋のゆうがたの3つの風景を切り取りました。そして山の上で働く従業員やそこを訪れる人々に声をかけ、Image pictureを作成しました。
「この色選びは△△さんだ!わかりやすい!」
「○○さんおっとりしてるけど、パンチのある色選びするんだね。意外だわ。」
互いのことを見知った相手からは、Image pictureがその人を表していることもあれば、全く知らない部分を表していることもあります。
この作品は一見すると写真には見えませんが、カメラと被写体ではなく、写真と鑑賞者の関係性を表した新しい写真表現になります。
作家名折田千秋作品名Image picture年度2020年 PITCH GRANT