私は2015年から大学で金属の鋳造技術(以下鋳金)を学び、自身の制作に繋げている。
鋳金とは、塑像で作られた彫刻から型を取り銅像に作り替えたり、器物などを制作する金属の加工技術の一種である。
私は、鋳金制作過程の’’型取り=写す’’と言う行為と金属の耐久性によって’’半永久的な素材=時間の停止’’という点から鋳金と写真に共通点を見出した。また型取りから金属を流し込み、型から割り出すまでの不安は現像前のフィルム写真と共通の感覚がある。
以上から写真を光の鋳造という定義し、カメラを鋳型に見立てピンホールカメラを制作した。
提出した作品群は2019年夏に訪れたパキスタン•カラコルム山脈の風景を撮影した写真である。インフラストラクチャーのない山での生活から、現地の人々のDIY的思考をオマージュし、ピンホールカメラは山村に捨てられていたダンボールやゴミの破片から制作した。
今後の展開として、世界各国の都市から山村まで訪問し現地の材料からカメラを制作し撮影を継続する。
技術の発展によって容易に写真を撮ることが可能な現在で、よりプリミティブに’’写す’’という行為を模索したいと考えている。
作家名山西もも作品名Cast in年度2020年 PITCH GRANT